先日は小学校入学前の体験入学について書きましたが、入学前には新入生徒の保護者向けに説明会も開かれます。カジュアルな感じで親同士知り合いになるための機会のようですが、そこで渡された、学校生活について説明されたプリントには宿題についても書いてありました。宿題に費やす時間は、Year1からYear2だと一日に20分ほど、Year5までは一日に30分以内で、Year6でも40分以内にするべきです、とのこと。ずいぶん少ないと感じたのですが、こちらは放課後も勉強に頑張る、という雰囲気はあまりありません。サッカーや器械体操などのスポーツや、ピアノやギターといった音楽の習い事など、いわゆるお勉強以外のことに放課後を費やしている子が多い印象です。国全体で行われた調査によれば、小学生が宿題に費やす平均時間は53分とのことなので小学校の推奨時間以上に勉強しているようですが、この調査に関するニュース記事には「小学生には一週間に1時間ぐらいの勉強時間でいいわ」という母親や、宿題にはほとんど価値がないという副校長の声も上がっていました。この副校長いわく、家庭学習は問題集や参考書をやるのではなく実際に何かに参加することが重要だとのこと。例えば子供たちがお母さんの夕飯作りを手伝えば、料理する課程で学んでいる、ということだそうです。
一方、日本の文科省が全国の100万人以上の小学6年生を対象に行った調査では、6割以上が一日に1時間以上勉強しており、4人に一人が2時間以上勉強していると回答しています。日本の小学生と比較してNZはこんなのんびりした勉強の取り組み方で大丈夫かな、と親としては心配に思わないわけでもありませんが、教育省の方や学校の先生方によると、こちらの教育は知識詰め込み式ではなく、問題解決能力を育むことに重きを置いているとのことです。経済協力開発機構(OECD)が三年ごとに行っている国際的な学力調査PISAというものがありますが、2009年には世界65の国と地域の15歳の子、約47万人を対象に実施されました。読解力を中心として数学や科学の能力も測られたのですが、ニュージーランドは数学で13位でしたが、それ以外の項目ではすべて10位以内に入っており、「総合読解力」それに「熟考・評価」では日本よりも上位の結果となっています。小学生のときに勉強時間が少なくてもそれほど心配しなくてもいいのかもしれませんね。
では実際に一年生になったタクがどんな宿題をもらってきているかというと、まずは毎日一冊リーディング。学校からもらったプリントにも、リーディングが宿題の中で一番重要で他の宿題のためにリーディングの時間が犠牲にされるべきではない、と書かれていました。タクが読むのは8ページぐらいの短いもので、各ページに短い文がひとつだけ入っているというシンプルなものです。リーディングをする際には、子供が自分で読み間違いを直せるようにするのが大切とのこと。「この読み方でいい?」というように子供が質問してきてはじめて、助けてあげるようにと学校からのプリントには書かれていました。
リーディングのほかは、ボキャブラリー。毎週、theやamなど簡単な単語が5つ並んだシートが連絡帳に貼られていきます。まずはリーディングの際に頻出する単語の読み方を覚えて、それから自分で書けるように練習していけばいいそうです。
また、小学校に上がるとアルファベットを習うのですが、書き方を教えるにあたっては、縦長の線はtall stick、上向きに膨らんでいる弧はtunnelといったように線や形に名前をつけて小さい子が覚えやすいようにしています。そしてたとえば小文字のaであればopen mouth, short stickというように書いていきます。mだったらshort stick, tunnel, tunnel。pだったらhanging stick, tunnel, close itというように書くわけです。日本語で漢字の書き順を習う際の、払いや止めに似ていますね。もしおうちでもアルファベットの書き方を練習する際は、同じ呼び方で書き方を教えてくださいね、とのこと。そうやって練習するとタクも嬉しそうに文字を書くのですが、自宅学習も楽しみながらやるのが大切、と学校からのプリントで強調されているのがよく分かりました。