何度か紹介しているThea Stiltonシリーズ。今回ご紹介するのは“Thea Stilton and the Blue Scarab Hunt”。舞台は歴史の宝庫、エジプトです。Thea Sistersはエジプトの考古学調査に招待されます。太陽の宝石という伝説の宝物を探しているのですが、スカラベの形をした青い石がその宝石のありかを知るためのヒントのようです。ですが、盗賊団もこの宝石を狙っていました。Thea Sistersたちの活躍やいかに?
ちなみにスカラベというのは昆虫の一種で、古代エジプトでは神聖な生き物と考えられていました。この昆虫は動物のフンを丸める習性がありますが、大きなスカラベが毎日地平線の向こう側で太陽を作ってコロコロと空の上を転がしてくと古代エジプトでは考えられていた、との解説がこの本にありました。へ~。
観光地としても有名なルクソール。何世紀にもわたってエジプトの首都がおかれ、現在も多くのファラオ(エジプトの王様)の墓が残っているこの街は、古代ではテーベと呼ばれていました。これはギリシャ語だそうです。古代エジプトが栄えたのち、地中海世界ではギリシャ語が広く使われていたのでその名残でしょうね。長い歴史を誇るエジプトが舞台だけに、今回の本でもいろんな知識が満載です。
ギザのスフィンクスやクフ王のピラミッドといった有名な遺跡のほか、盗掘対策についても説明していあります。
古代エジプト文明の解説もしっかりしてあります。上エジプトと下エジプトに分かれていたけれども紀元前3000年に統一され、その結果下エジプトの赤い王冠と上エジプトの白い王冠が合わさって白と赤の統一エジプトの王冠ができたそうです。
ナイル川沿いに文明が発達してきたことも書かれていて、毎年決まった季節に発生する洪水によって土地が肥沃になり、その土の色からナイル川沿岸は「黒い土地」、砂漠は「赤い土地」と呼ばれていたとのこと。そういえば、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスが「エジプトはナイルの賜物」という言葉を残していますね。洪水はエジプトで大きな意味を持っていて、別のページではエジプトの暦についても説明がありますが、「洪水の季節」「水が引く季節」「乾燥した季節」と一年間を洪水に応じて3つのシーズンに分けていたそうです。ちなみにナイル川上流にアスワンハイダムが作られてからは洪水もなくなりました。
古代エジプト社会についても説明がしてあります。なるべく簡単な言葉が使われていますが、小学低学年の子にはちょっと難しいかもしれませんね。「priestって??」とユウも聞いてきました。ちなみにエジプトの宗教というとイスラムのイメージが強いかもしれませんが、古代エジプトは多神教で、のちにキリスト教が主流となり、その後イスラム化したのは7世紀以降。現代もコプト正教会というキリスト教の一派が残っていて、国連で事務総長を務めたエジプトのブトロス・ガーリ氏もキリスト教徒ですね。
オリオン座のベルトの部分に当たる3つの星の位置と、クフ王ほか3つのピラミッドの配置が対応している、なんてちょっとした知識も。Thea Sistersはラクダに乗って遺跡に向かい、古代エジプトの謎に取り組みますが、ストーリーと一緒にこういったマメ知識も楽しんでみてください。
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