前回に引き続き、NZの幼児教育についてです。今回は保護者主導型の、特にプレイグループについて説明します。プレイグループは、コミュニティセンターや教会のホールなどを使って、お絵かきしたり粘土で遊んだりとさまざまなアクティビティを親子で行います。幼稚園などのように幼児教育の資格をもつ先生がいる必要はありませんが、参加している子供の数に対しその半分以上の大人がついていないといけません。活動する曜日や時間などはグループによって異なり、一日に4時間までという時間的な制限が教育省によって設けられていますが、たいてい午前中に2時間ほどで終わるものが多いようですね。参加費も無料のところや、高くても一家族につき一回数ドル程度(500円ほど)なので気楽に参加できます。以前紹介したMainly Musicという集まりは一回3ドル(約250円)で、お菓子も出してくれます。ちなみにプレイグループは、教育プログラムがしっかりしているかどうか、施設や設備は衛生的で安全か、などのいくつかの項目をクリアして政府から認定されれば、補助金も得られます。単に親御さんたちが自主的に集まって活動しているというよりは、政府が幼児教育の選択肢の一つとして保護者主導型のものをサポートしている、といった感じでしょうか。
プレイグループは親同士の交流の場にもなっていて、子供たちを遊ばせながらお母さん方のおしゃべりに花が咲く光景がよく見られます。小さな子供を育てる親として共通の話題が多いのでしょうね。私も、子供を連れて遊びに行くのだったらここがいいとか、小学校に上がったお兄ちゃんがこんなことに困っていて、とかいろんなことを教えてもらっています。移民の人も多いため、他の国の子育て事情なんかも聞けて結構ためになります。先日はイギリスから移住してきたというお母さんと話していたのですが、収入によって受けられる教育の質が大きく変わるイギリスに比べれば、NZは小学校の授業料は無料だし体育も重視されていて非常にいい、と言っていました。
移民といえば、NZでも特にオークランドは移民が多いのですが、文化の多様性がさまざまな分野で重要視されていて、例えば図書館を覗けば日本語だけでなく韓国語やアラビア語、アフリカーンス語(南アフリカの言葉)で書かれた本がおかれています。幼児教育でも各民族グループの言語や文化は尊重されていて、英語以外の言語や特定の文化に基づいたプレイグループも認められています。また、教育省の方の話によると、母語をしっかり習得している子は英語の習得も早いとのこと。そのため、移民の子供たちが母語を使って他の子供や親御と一緒に活動する場が持てるよう、英語以外の言葉で運営されるプレイグループも推奨されているとのことです。ユウとタクは日本人のプレイグループにも参加しているのですが、日本語でお友達と楽しそうに遊んでいる姿を見ると母語の大切さを強く感じます。