NZの小学1~3年生のリーディング教材は、Ready to Readシリーズと呼ばれて9段階にレベル分けされています。それぞれのレベルには赤や青など色がついているのですが、ユウがいま読んでいるのはターコイズ。国の基準では、小学校に入学して2年後には読めるようになっているレベルです。ちなみになぜ二年生の終わりではなく入学2年後かというと、以前も書きましたがNZの小学校の入学制度と関係があります。日本のようにみんな同じ時期にいっせいに入学するのではなく、5歳の誕生日の翌日から6歳になるまでに入学すればいいのでみんな入学時期がばらばらなんですね。なので入学して1年から3年の間は、学力の基準が各学年終了時ではなく入学して何年後かで定められています。
ターコイズレベルの本はどのようなものかというと、一冊300~500語の長さ。二つ前のレベルにあたる緑の本については以前説明しましたが、それとくらべると、直接的に示される情報ではなく間接的な情報が増え、また図解も増えていきます。文章の内容についていくために、生徒は内容の主要なポイントや出来事を要約したり、文章中に出てくることがらを具体的に把握するために例えを使ったりするようになります。もちろん自分だけではできないので、まずは先生がリーディングの授業でその手助けをしてくれます。また、本で出てくる単語の多くはすでに知っているものですが、新しく出てくる単語に関しては、文章をもう一度読んで同義語や説明などを探し、文脈から意味を推測することが必要になってきます。
例えば先日ユウが読んでいたこの本。maze(迷路)になっているmaize(とうもろこし)の畑のお話です。mazeという単語は一年生で読んだ本の中で出てきますし、子供が絵本や遊びの中で目にしたり耳にしますが、maizeは2年生にとってはまだ見慣れない単語です。生徒たちは、写真だけでなく”Maize is a plant that looks like corn”といった文章中の説明を読んで、maizeがどういうものかを理解していきます。またこの本にはとうもろこしのstalk(茎)という単語も出てきますが、stalkが何であるかは、文章中で直接は説明されません。その代わり、子供がとうもろこしに囲まれている写真、それに”I looked at the huge stalks of maize. They were much taller than any of us.”といった文章から、stalkが何であるかを読み取るんですね。
ほかにも、「この迷路に入る人は旗を持って行かないといけません」という趣旨の文が入っているのですが、生徒は文章と写真から、旗は高いものでないと迷ったときに外から見つけてもらえない、ということを推測します。先生と一緒に読んでいるときは、「何で旗を持って行かないといけないのかな?」と聞かれるようです。そしてこの数ページ後には、迷路で迷ったため旗を高く掲げて助けに来てもらった、という話が出てきます。「ほら、旗を持っててよかったね!」とユウと一緒に読んでいるときは私も言ってあげるようにしました。
学習塾に通うのが日本にくらべるとそれほど一般的ではないNZですが、そのぶん親がリーディングほか算数などを子どもと一緒に楽しみながらおうちで勉強するよう学校から促されます。特にユウのように低学年の子は親の関わりが重要視されるのですが、一緒にリーディングをしていると実際の進度がよく分かって親としては助かります。