ニュージーランドで英語教育 ほうかごブログ

記述問題で1科目3時間のテストも! NZの高校の学年末試験が始まりました。

「ねえねえ、これ先生がくれたんだよ」と学校から帰ってきた娘が見せてくれたのが、チョコレートやペンなどが入ったピンクの袋。テスト期間が始まるからこれで頑張ってね、と歴史の先生がクラスのみんなに配ったそうです。
NCEA
 ペンやポストイットだけでなく、勉強で頭が疲れたときのチョコレートも。ハーブティーのパックは、水筒に入れて外でも飲めるから、図書館とかで勉強していて一休みしたいときに飲んでね、とのことだそう。

 ニュージーランドの学校は一年4学期制で、今は最後の第4学期。日本の高校一~三年生にあたるYear11~13では、学年末の全国統一試験があります。今学期は2週間弱授業があっただけであとはずっとテスト期間となり、自分のとっている教科の試験があるときだけ登校します。
 今年Year11の娘は初めての経験になりますが、テスト期間が始まる前の最後の授業で、先生が生徒たちにテスト勉強を頑張ってほしいとちょっとした贈り物をくれたようです。

 ニュージーランドの高校では、インターナル・アセスメント(Internal Assessment)と呼ばれる学内テストと、エクスターナル・アセスメント(External Assessment/NCEA Exam)と呼ばれる全国統一試験の2種類の試験でクレジット(Credit)と呼ばれる単位を取得していきます。インターナルは学内テストだけでなく課題提出もあったりして、各学校によって違いますが、エクスターナルは全国共通の学外審査です。

 エクスターナルは11月から12月にかけて行われますが、その前に9月にMock examと呼ばれる模擬試験が行われます。模擬試験とはいえ、エクスターナルが何らかの事情で受けられなくなった場合は代わりにMock examの結果が正式な結果になるので気は抜けません。

 ニュージーランドの試験の特徴として、とにかく記述するという点が挙げられます。日本のテストであるように穴埋め問題や、選択肢A~Dから選べといった選択問題、それに単語だけを答えさせるような問題は、学校の小テストではあるかもしれませんが、エクスターナルなどのテストではまずありえません。
 例えば日本の高校1年にあたるYear11のEnglish(国語)のテストでは、自分が勉強した作品の中で出てきた難しい状況を叙述したうえで、登場人物にとってどのように難しい状況なのかを説明する、といった問題が出されます。
 解答用紙はA4サイズの紙なのですが、「3~4枚を超えて書いてはいけません」と書かれていて、逆に言うとそれぐらいの量を書くことが期待されているようです。
 長い文章を書かなければいけないので、解答とは別にプランニングのための用紙も渡されます。そのため試験時間も長く、場合によっては1教科3時間のものもあったりします。

 記述問題重視なのは文系科目だけでなく、理系科目でも同様です。例えば物理の試験では、「~を計算して求めよ」という問題も出ますが、「なぜ磁場線の形が図のようになるのか説明せよ」など記述問題が多く、A4用紙1枚ほど書くものもあります。
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写真は9月に受けた物理のテストですが、ぱっと見ると理系科目のテストに思えませんでした。

 エクスターナルはこのように長文を書かないといけない長時間の試験なので、その準備のためにMock examがあるのもよくわかります。いきなりこんな問題を出されたら途方にくれますよね。
 それだけでなく、ニュージーランドの学校では日本の中学2~3年生にあたるYear9~10から記述中心の問題を解いていきます。幼いころから日本で育ったニュージーランドの知り合いで、高校になってニュージーランドに戻きた人がいるのですが、日本語も英語も問題ない人なのですが、授業の進め方やテスト形式が全然違っていて対応するのにすごく苦労した、と言っていました。

 日本の大学共通テストでも、国語と数学の一部に記述問題の導入決まっていますね。学習指導要領では思考力、判断力、表現力等を育成する必要性が説かれていますが、グローバル化が進み変化のスピードも加速している現代社会ではそういった能力が必要で、記述式の問題に取り組むことがその育成に寄与する、ということなのでしょう。
 もちろん記述式問題が無条件にいいというわけではなく、一度に40数万人の受験生が受け1点刻みで点数が出る共通テスト大学共通テストでは、記述問題は採点が大変でしょうし、導入が先送りになったのも理解できます。

 ニュージーランドのエクスターナルでは、一つの解答を少なくとも3人の採点者がみることで、採点のブレをなくしているようです。試験結果はExcellence、Merit、Achieved、Not Achieved(優、良、可、不可)の4段階評価がされたうえで、さらに各段階が2つに分けられるので実質8段階評価になります。
 
 多くの記述が求められテスト時間も長いエクスターナルは、しっかり準備して臨まないとなかなかいい結果が出ないのは容易に想像がつきます。先生が生徒たちを応援するためにちょっとしたプレゼントをしてくれたのもなんだかわかる気がします。一年を締めくくるこの全国統一試験で頑張ってほしいです。

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Posted on: November 11th, 2022 by Yuko Okumura コメントはありません

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